新堀川の希少動植物の保全活動 (高知県高知市)
(土居正典)
こうち環境博2026への出展のため、JiVaの仲間で高知にやってきた。その様子は中村玲子副会長が報告されると思うので、その番外編を書く。
環境博の会場はカルポート(正式名称:高知市文化プラザ)というはりまや橋から東に10分ほど歩いた11階建てのビルの7階であったが、そこから大通りを挟んだ北側に新堀川という小さい川が流れている。新堀川は江ノ口川と堀川を結ぶ水路であり、堀川~鏡川経由でおよそ5kmほどで、浦戸湾につながっている(図1)。

この新堀川、高知県の計画する都市計画道路はりまや町一宮線の整備に伴い、当初は全面的に暗渠にする計画だったようであるが、海水遡上の影響を受ける感潮域であり、アカメの稚魚の生息場として重要なコアマモ群集が存在していたことや歴史的価値のある護岸を残すべきとの観点から多くの議論を得た末に、半開放型の水路となるように設計変更された。新しい設計案では東側の重要な護岸の一部は10mほど移設されることとなり、かかる護岸の移設工事により、小さいながらも干潟部分が開放型水路の中に確保されることになったのである。詳細は県の広報資料<837083938374955C96CA206F75742E6169>等を参照いただきたいが、注目される希少動植物については図2のように整理されている。

今回、その完成をみた新堀川のほとりを散策し、干潟の生物を観察することができた。感潮域はいろいろな生物の交差点であり、生物屋の端くれとしては本当に楽しめる場所である(図3)。何と言っても微かに潮の香りがする。残念ながら私は水産バックグラウンドとは言え魚の養殖が専門なので、干潟の生物の詳しい種名まではわからないが、干潟にはたくさんの小さいカニの生息が確認され、さかんに爪を上げ下げしているので、てっきりシオマネキだと思ってJiVaの皆さんに、自慢げに紹介した。


図3. 護岸の移設により新たに出来た横堀公園前の干潟(左)とそこ続く半開放型の新堀川水路(右) (写真:田口明男)
しかし、このカニの拡大写真を専門家の岩瀬さん(JiVaメンバー)に見てもらったところ、どうやらシオマネキではなく、コメツキガニの仲間であるチゴガニらしい(図4)。シオマネキはこのカニより若干沖の方(潮の影響を受ける側)に生息するとのこと。でもまあ、このような潮間帯に住む生き物が都会の真ん中の河川で観察できることは素晴らしいことであると思った。

トビハゼ

チゴガニの他もいろいろなカニの仲間がおり、高知でエガニと呼ばれるノコギリガザミの子供も確認することができた。かわいらしいトビハゼもいたし、水路の本流には小魚の群れに加えて大型のチヌ(クロダイ)も見え隠れしていた。水が濁っていたためか、コアマモの群落が確認できなかったのが残念ではあった。
いずれにしても、このような都市部を流れる小河川についても自然環境の保全という観点から知恵を絞られた高知の識者の皆様の努力には敬意を払いたい。とりわけアカメは準絶滅危惧種として、また日本三大怪魚のひとつとしてその名を知られ、浦戸湾では県外からも多くの釣り人が来高し、釣果を競っている。その稚魚の生息場となるコアマモ場の保全については今後ともしっかりモニタリングしていく必要があると考える。

