竹ヶ島のサンゴ群集(徳島県海陽町)

竹ヶ島と本土は短い道路橋でつながっている。この橋ができる1973年までは吊り橋しかなかった。
 
 「竹ヶ島(たけがしま)」は徳島県南端の海陽町の地先沿岸にある周囲4キロ、面積40ヘクタールの小さな島である。徳島駅から太平洋沿岸を走る牟岐(むぎ)線で2時間。終点の阿波海南駅から阿佐海岸鉄道のDMV(デュアル・モード・ビークル)で宍喰(ししくい)駅へと乗り継ぎ、さらにバスで高知県との境界まで行かなければならない。四国でも有数の不便なところにある島だが、枝状の群体をつくる「エダミドリイシ」を中心とした造礁サンゴの大群集があることで知られ、一帯の9.9ヘクタールは、室戸阿南海岸国定公園の「阿波竹ヶ島海域公園」に指定されている。
 
 ところが近年、黒潮の流れの変化などからかエダミドリイシが減少し、2005年、島の住民や漁協、徳島大などの専門家、海陽町、環境省、国交省などで「竹ヶ島海中公園自然再生協議会」が組織され、サンゴの海の再生に向けた活動が続けられてきた。その柱の1つが、エダミドリイシの種苗の育成と移植で、産卵期に卵を採取し、島の一角にある海洋自然博物館マリンジャムの水槽で育て、5年ほどして5センチ弱程度の幼樹に育ったら、台石に植え付けてサンゴ群集近くの海底に沈める。
 
 このサンゴの植樹には10年ほど前から地元の宍喰小学校の生徒も参加していて、今年は11月19日、5年生全員による植樹活動が授業の一環としておこなわれ、見学に行ってきた。子どもたちが台石に1つずつ植え付けたサンゴの幼樹を、地元の漁師さんが船で沖に運び、マリンジャムのスタッフらが海に潜って、現存するエダミドリイシの群集の足元においてくる。竹ヶ島のある海陽町ならではの湿地環境教育プログラムだ。
 
 エダミドリイシは少しずつ回復の傾向にあるが、かつてのような大群集に育つには長い時間が必要だ。地道な活動がこれからも息長く続けられることを願う。サンゴの海は、ラムサール条約でも保全がうたわれている「湿地」のひとつである。
 
 今回の竹ヶ島ゆきでは、高知生物多様性ネットワークの岩瀬文人さん、ニココンサルタントの岡田直也さん、マリンジャム館長の奥村正俊さん、海陽町観光交流課の戎谷悟さんにお世話になった。