オオキトンボの「ため池」 (愛媛県松山市)

オオキトンボ Sympetrum uniforme。赤トンボの仲間だが、その名のとおり、胴体と羽が黄色の、全長5センチくらいのトンボだ。環境省のレッドリスト(2020年)で、絶滅危惧1B類(EN)=近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの、に指定されている。
2025年10月13日、NGO「森からつづく道」(愛媛県松山市)の自然観察会に参加して、そのオオキトンボが産卵する様子を見せてもらった。
場所は、松山市北部北条地域の水田地帯のまんなかにある農業用ため池。講師は「森からつづく道」の武智礼央さんと豊田康二さん、トンボの達人だ。
オオキトンボは、秋の稲刈り後、ため池の水が抜かれ、岸辺に砂泥質の地面が顔を出しかけたような浅瀬に産卵する。オスとメスがつながったまま、メスの尻尾の先を水面や地面に打ち付けるようにして卵を産み落とす。卵のままで越冬し、春、水が張られた池でヤゴとして育ち、7月ごろ羽化してトンボになる。
遠くに高輪山をみはるかす面積1ヘクタールくらいのため池の周りには、かなりの数のオオキトンボが飛び交い、せわしなく産卵活動を繰り返していた。
池のまわりには、ほかにもたくさんのトンボが飛んでいて、シオカラトンボ、アオイトトンボ、ハネビロトンボ、ナニワイトトンボ、タイワンシオカラトンボ・・・・・・、講師からつぎつぎに目の前を飛び交う名前が紹介されるが、動きが早く、とても追いつけない。
オオキトンボは、かつてはありふれたトンボの一種だった。しかし、産卵のために水辺の浅瀬が必要なオオキトンボは、コンクリートで護岸されたため池や、放置されて「水抜き」されなくなったため池では世代交代できない。すでに姿をみられなくなってしまった地域も少なくない。
愛媛県では、北部から東部の瀬戸内海沿いの地域にのみ分布する。県のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)=絶滅の危険が増大している種、に指定されている。





