鏡川(高知市)

五台山より高知市内、鏡川を望む
五台山より高知市内、鏡川を望む
 鏡(かがみ)川は、高知市北部の旧土佐山村を源流域に、高知市域を西から東に流れて浦戸湾に流れ込む長さ31キロの河川である。人口31万人都市のまんなかを流れながらも、昔と変わらぬ清流の面影を残し、環境省の「平成の名水百選」(2008年)にも選ばれている。
 
 6月8日(日)、河口に近い九反田(くたんだ)橋付近で「鏡川の自然観察会」がおこなわれた。「高知みらい科学館」の野外教室プログラムとして実施されたもので、活動の主体は「鏡川水生生物研究会」。水辺の生きものが好きな高校生らが集まって今年2月に発足させたばかりのNGOで、代表は土佐高校2年生の小野晄(ひかる)さん。一般参加者を募っての活動はこれが初めてだった。
 
 子ども連れ30人ほどの参加者が川に入って、干潟の石をひっくり返して生きものを探し、高校生たちはリーダーとなって手引きし、科学館の学芸員はじめ、貝や魚、カニ、水生昆虫などの専門家がサポートした。小雨模様の中、総勢50人で、およそ2時間にわたって生きもの探しに熱中した。
 
 浦戸湾を経て土佐湾とつながっている鏡川の河口域は、川の淡水と海の潮が交じり合う汽水環境で、川の生きものと海の生きものの両方が生息するのが特徴だ。この日もハゼやチチブなどの魚や、カニ、エビ、貝など30種類の生きものを確認した。初めて観察された種もあったという。「大都市の河川なのに驚くほど生物多様性が高い」とサポーター役のひとり、高橋弘明さん。
 
 「観察する人が多いと、やっぱりたくさんの生きものが見つかる」と主催した高校生たちは手応えを感じたようす。これからも定期的に観察会を実施し、記録していく予定だという。
 
 鏡川河口から浦戸湾一帯は、有数の生物多様性豊かな都市の湿地として「ラムサール条約」に登録する価値があると「JiVaラムサール」は考えている。