新町川水系 (愛媛県西条市)

愛媛県西条市は、西日本最高峰の石鎚山(1982m)から瀬戸内海に流れ下る加茂川と中山川の下流の沖積平野に形成された田園都市である。面積5万1000ha、人口10万人。
春になると石鎚山の豊富な雪解け水が加茂川に流れ込み、その多くが伏流水となり、市内のあちこちで自噴する「水の都」でもある。水道を引かずに「うちぬき」と呼ばれるその自噴水を使って生活している家庭も少なくない。
新町川水系は、市の中央部に湧出するうちぬきの1つの「観音水」を源流とした水路で、江戸時代初期に築かれていまも残る旧西条藩陣屋跡の堀割まで、2.4kmを流れている。年間を通じて水量・水温が安定し、ホタルが湧き、アユが遡上し、豊かな生きものの棲み処として、また人々の憩いの場、環境教育のフィールドとして、欠かせない役割を担っている。2024年3月、環境省の自然共生サイトに認定された。
ここで例年、外来水草駆除活動が環境管理活動の一環としておこなわれている。NGOの「西条自然学校」が取り組んできたが、2015年からは西条市に社屋を置く四国積水工業が、CSR活動(企業の社会的貢献活動)として活動に参加している。大人も子どもも胴長を履き、肘まで覆う手袋をつけて水中に入り、水面を覆いつくすように繁茂している外来性の水草をひたすら回収する人海戦術である。
今年、2025年4月5日の作業には四国積水の社長はじめ社員、家族40人が参加、西条自然学校、JiVaラムサールのメンバーや、西条市の担当部局のスタッフ含めおよそ60人が集まり、歴代でも最大人数で実施された。除去された水草は、オオカワジシャ、オランダガラシ、カナダモ、コカナダモ。2時間の作業で、2トントラックの荷台がみるみるうちに埋まった。
駆除活動は年に3~4回、季節を替えて実施されているが、最初のころにくらべ、1回の活動で除去される外来水草の量はだんだん減っているという。「活動が効果を生んでいる証拠。私たちの活動が役に立っていると思うとうれしい」と積水の社員。活動後は、開水面を大きく取り戻した清流を眺めながらのお弁当の時間。青い空を映す水面に、桜の花びらがひとつ、ふたつと模様を描いていく。










