浦戸湾(高知市)とアカメ

「アカメ」という魚がいる。西日本の太平洋沿岸のみ、とくに宮崎県と高知県の限られた汽水域でみられるスズキ目の魚で、日本の固有種Lates japonicusである。大きなものでは体長1.5メートルにもなり、暗いところで光に当たると目が赤く光ることからこう呼ばれている。ビワコオオナマズ、イトウと並んで日本三大怪魚に数えられている。
そのアカメの代表的な生息地、高知市の浦戸湾を8月19日に訪ねた。
浦戸湾は、高知市の市街地の南部にある湾口幅140メートル、奥行き6キロの縦長の入り江で、北部から鏡川、国分川などが流れ込み、高知港を経て、坂本龍馬像が立つ桂浜から土佐湾、太平洋へと流れ下る。
高知出身のJiVaラムサール会員の土居正典さんとその知人の案内で、湾奥部の鏡川河口付近から、反時計回りに面積7平方キロの湾をぐるりと回った。
浦戸湾は、人口32万人の高知市の真ん中にありながら、ほぼ全周、遮るものがなく湾内を眺めることができ、さまざまな表情を見ることができた。干潟、砂浜、藻場などの自然環境がそこここに残されていて、アカメに限らず汽水性生物のホットスポットだということが納得できた。
そのアカメの雄姿を桂浜水族館で見た。ゆったりとした動きで、大物感たっぷり、「怪魚」と呼ぶにふさわしい姿だった。
この2024年9月に『京大リサーチニュース』に公開された中山耕至さん(京大農学部助教)ほかのアカメのゲノム解析研究の結果によれば、アカメゲノムの遺伝的多様性は絶滅危惧種のトキやゴリラに近く、魚類では最低レベル。「種内の多様性は極めて低く、約30,000年もの間、個体数が少なく保たれていたことが分かった」という。
アカメの生息に欠かせない汽水域のアマモ場は全国的に減少が著しい。世界中で日本にしかいないアカメの将来のために、貴重な生息地である浦戸湾の保全は喫緊の課題といえよう。
なおアカメは、宮崎県では「指定希少野生動植物」として、2012年以降捕獲は禁止されている。高知県では2018年に「県の自然を代表する魚種」の「注目種」に指定し、捕獲は禁止しないが「キャッチアンドリリース(再放流)」を要請している。














