宇和盆地(愛媛県西予市)

愛媛県西予市の宇和盆地

 愛媛県松山市から西へ特急電車で約一時間、約1,000ヘクタールの広さの宇和盆地が眼前に広がります。
 
 今年もここで越冬するナベヅル、第一陣5羽が11月にやって来ました。私たちは西予市役所のツル担当者やツルを見守る地元のひとの協力のもと、西予市に移住した会員2名とともに2日間のフィールドワークを行いました。
 
 2日の午後は農作業を終えた田んぼではるか遠くエサをついばむ姿をかろうじて観察できただけでした。
 
 3日早朝は氷点下の寒さの中、ネグラから飛来するタイミングを田んぼで待ち受けました。空中からツルの鳴き声が聞こえ、一瞬その姿もかいま見えましたが、あいにくの濃霧で写真は撮れませんでした。
 
 その後、ネグラを視察に行きました。ここは夜間にツルたちが安心して過ごせるように、地元のひとたちが永年のナベヅル越冬地(山口県八代)にも視察にいくなど工夫を重ねて、田んぼに水を張り用意した場所です。周囲にはキツネなど野生動物が侵入しないようにフェンスを張り巡らせ、飛来するツル用の目印にデコイも置いてありました。
 
 夏の間、広大なシベリアで暮らしていたツルは、強い警戒心で用心深く越冬地を選びます。特に夜間は浅く水が張られ、天敵の入ってこない安全なネグラが必要です。宇和盆地に年々ツルが来るようになった背景には、このネグラの整備が大きくかかわっている、ということが現地視察でよくわかりました。
 
 活動はほとんど手弁当だそうで、ナベツルに寄り添う気持ちとその行動力に心から感銘を受けました。
 
 最後に盆地の南側、田んぼが見渡せる観察小屋に立ち寄りました。すると…我々を歓迎するかのように、観察小屋からの至近距離を5羽がゆっくり歩いてくれました。予想外のとても幸運な時間でした。
 
 通常ナベヅルは家族単位で行動し、一定のナワバリをもっていますが、西予市にくるナベヅルは殆どが亜成鳥と呼ばれる若鳥だそうで、群れとして行動しています。昨年は50数羽がきたので、今冬もこれからさらに数を増やすことでしょう。